40歳酒好きJunさんの腎がん奮闘日記❤️

40歳で腎がん(T1bN0M0, ステージI)の告知を受けた2児のパパのブログ

手術をどこで受けるべきか? No.3

 

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手術をお願いしたいと思えるか?

がん告知された翌日の夜、またモヤモヤしたあの医師の言葉が頭をよぎった。あの医師に私と家族の人生を任せられるのだろうかと。

  • 「腎がんは間違いないと思うのだけど…」
  • 放射線科医が診てから確定診断を…」
  • 「カンファで皆の意見を聞いてから…」

 その病院のホームページを見ると、最新の内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入しているし、ホームページも患者さんにとって親切で分かりやすい。PubMedを使ってその医師の名前を検索すると、前立腺関係の論文を書いていて、そんなに過去のものでもなく、個人的には信頼度はぐっと上がってきた。

 ただ、病院として腎がんのオペ実績は年間7例ぐらいと少なく、まだ病院の歴史も浅い。腎がんを専門としている訳でもない。何より、あのモヤモヤが気になり、別の病院で手術を受けるかどうか、選択肢として持っておいても悪くないと感じ始めた。

 

とにかく一番の願望は、一日も早くがんを取り除きたいということ。腎がんは一部の癌を除いて進行は遅く、年に数mm程度だと言われている。そのため、そこまで焦る必要はないかもしれない。しかし、腎臓は血行性に富む臓器のため、微細ながん細胞が血流に乗って他の臓器に飛んでいってしまうかもしれない。そのため「1〜2ヵ月を待ってでも…」ということはどうしても耐えられなかった。1〜2ヵ月待っている間に転移する可能性は低いとはいえ、その間待ったことが原因で転移したことを証明することは不可能だとしても、そんな不安を感じるくらいなら手術の日程を優先したい。手術日を2021年3月3日に仮予約していたが、それよりも早い日程で手術できるところで、信頼できる医療機関・医師がいたなら、そこにお願いしようと思った。

 

ベストな病院・医師をどうやって探すか?

がん告知の3日目(月曜日)、会社を休み、診療データ(CT画像)を入手しに病院へ行った。CT画像をもらうということは、他院に行く気満々ということだが、事情を看護師さんに伝えたら、驚くほど親切に先生に働きかけ、CD-ROMに焼いてくれた。手術や術前検査の予約をしているし、実際に手術をお願いするかもしれないので、後ろめたい気持ちはあったのだが、背に腹は変えられない。本当は紹介状を書いてもらうように依頼しても良かったが、まだ他の医療機関で手術するかどうかも分からないので、無理にお願いしなかった(あと、紹介状を書くのは時間がかかりそうだったので)。

 

病院を出て、頼りになる友人(製薬会社のMR)に久しぶりに電話してみた。彼女は腎がんについても詳しいだけでなく、医療機関、医師のレベルでも豊富な情報を持っているので、色々と教えてもらった。

 

その情報を聞くなかで、特にいいなと思ったポイント

  1. 医療機関として、腎がんの手術件数(実績)が多いか
  2. 腎がん診療ガイドラインなどの作成に携わっているか
  3. 著名な先生に執刀してもらえるか
  4. なんとか通える範囲にあるか(都内在住)

 

私見だが、2. はその領域での実績が認められている方と同義だと考えている。いまは各種がんを含め様々な疾患領域でガイドラインというものが作成・公開されているが、そこに携わって医師なのであれば、まさに「医師から認められる医師」の証明だと思っている。

 3. は運だ。診察してみないと分からない。ただ、もし1. がずば抜けて多いのであれば、No.2, No.3の医師も数多くの実績を積んでおり、高い技術レベルを持っているのではないかと想像できる。

4. の地理的な問題はどうしようもできないが、幸い都内にはたくさんの有名な医療機関があるので、なんとか通える範囲にちょうどピッタリの医療機関(J病院と呼称する)があった。

 

セカンドオピニオンは遠慮なく活用しよう

まだ10時前だったので、J病院に電話してみると、紹介状がないからダメだと断られる。けど、初診時選定療養費を払うから何とか診てもらえないかを懇願しまくったところ、なんとか外来看護師に転送される。これまた冷たい態度で、その看護師からも紹介状がないからと断られる。いまにも電話を切られそうな雰囲気だ。けど食い下がり、詳細な健診結果とCTデータもあるし、私自身まだボケてないのでちゃんと詳しい説明もできるし、選定療養費も払うから診てもらえないかを再度懇願し、かなり渋られたものの、何とか診てくれることになり、急いでJ病院に向かった。

 

病院に着き、受付を済ませ、外来前で問診表を記載する。必要事項を記載するだけでは物足りなかったので、空いているスペースに、なぜこの医療機関にきたのか、著名な先生に執刀してもらいたいと、いわゆるラブレターのような書きぶりだ(笑)。受付に提出後、かれこれ2時間以上は待ったが、診てもらえるだけでありがたい。

 幸運にも著名な先生の診察を受けることができた。造影CT等のデータを持って行ったが、やはり一から検査をすることになり、造影CTを今度は腹部ではなく、胸部から下を撮影した。

 

診断結果

  • 左側の腎細胞がん(淡明細胞型)
  • 腫瘍長径5.2cm
  • リンパ節、他臓器への転移は見当たらない
  • T1bN0M0, ステージ1

 

手術については、ガイドライン上では腎臓の全摘除術が基本となっているが、近年では長期的に腎機能を温存することが大切との観点から腎部分摘除術も良いとのことで、私の腫瘍径/位置から、ロボットを使うダヴィンチ手術が可能とのことだった。

 

手術方法の選択を迫られる?!

残念ながらロボットを使う手術予定が詰まっていて、最短でも4月以降になってしまう。その日から1ヶ月以上も先の日程だ。なんとかスキマ日程などにねじ込むことはできないのかを粘ったところ、2週間後の3月2日もオペ可能だが、ダヴィンチ手術ができず、開腹になってしまう。どうしたいか、選択を迫られることになった。

 

もちろん即答で開腹手術だった。予習しまくっていたこともあり、開腹手術、腹腔鏡下手術、ダヴィンチ手術、どれも大きな差がないことを把握していたのも即答できた要因の一つとなった(開腹と腹腔鏡では生命予後には差がなく、ダヴィンチは保険適応となってまだ歴史は浅いので長期的なことは言えないものの、差があるという報告はない。手術によって切開する範囲が違うことなどに伴い、退院までの日数のようなことはダヴィンチが有利かもしれないが、私にとっては小さなことである)

開腹手術は確かにちょっと怖いけど、とにかく早く手術がしたかった。考えてもみれば、出産の5人に1人が帝王切開で赤ちゃんを産んでいるのに、俺がビビってどうするんだと。傷なんてまったく気にしないし、メタボなお腹まわりは元々ヒトサマに見せるようなものでもない(笑)その日のうちに必要な術前検査を済ませ、ここで手術をお願いすることにした。

 

まとめ

どこで手術を受けたいのか、どの医師にお願いしたいのか、これはすごく大切なことだ。なぜならただでさえ医療は不確実な出来事が起こるものであり、今後、再発・転移のリスクにもさらされ続けることになるので、信頼できる医療機関・医師でなければ、いざというとき、『あのとき、ああしてればよかったのかも』と後悔してしまうことがあるかもしれないからだ。あなたが患者さんや患者さんのご家族や大切な方で、もし何かモヤモヤと感じたことがあるなら、ちょっと立ち止まって考えるのもアリじゃないでしょうか?

 

ガイドライン作成医師かどうか、手術件数が多いかどうかは、あくまで個人的な好みの問題である。単にそれが私にとって一番の安心材料だったというだけ。つまり、あなたがこの先生なら100%信頼できると思うなら、その先生にお願いするべきだ。ラソンのように長い闘病生活が続くので、せっかくなら信頼できるパートナーと一緒に走りたいものだ。

 

あと、医療機関や医師を探す方法は難しい。たまたま私は比較的医療に近いこともあり、また詳しい友人もいることから、自身で納得できる医師に出会えた。ただ、現在はネットからでもかなり豊富な情報にアクセスできるので、自分の力で調べる努力は決して損にはならない。できれば100%ネットだけでなく、友人や知り合いのツテでも医師などの医療関係者、または医師自身に推薦する医師を聞いてみることができれば理想だと思う。

 

ではまた〜。