ドキドキの手術当日 No.5
入院当日の朝
入院2日目、手術当日の朝を迎えた。
大部屋には、医療上のケアが必要なおじいちゃんが多かったため、真夜中も騒々しいアラーム音やナースの声が聞こえてきたり、ライトなどで眩しくなったりと、何度も起こされてしまった。想像どおり、眠りは浅かった。
昨日の夕食以降、食べ物、飲み物はストップになっていた。正確には0時からは食べ物がNG、手術日6時以降は飲み物がNGとなっていたが、夕食以降は飲まず食わずを徹底してしていた。
他の患者に朝食が順次配られ、患者たちが食べる様子がカーテンで見えなくてもクリアに見える。それも80歳を過ぎたおじいちゃん達なので、クチャクチャとか、ズルルルルーって、イチイチ音がでかい(笑)お腹がかなり空いていたので、余計に空腹感が増してくる。
手術までやることがないので、ひたすら暇つぶしをするしかない。これが結構、長く感じた。
手術は朝一なのでラッキーだった。2番目、3番目となると、どうしても手術時間が前後してしまい、いつ手術が始まるか分からないので、心の準備が揺らぎそうだが、1番目なら定刻から開始してくれるからだ。
いざ、出術へ
さて、いよいよ呼ばれる時間になる。手術着に着替えて、帽子も被り、T字帯(ふんどしのようなもの)と腹帯も握りしめてスタンバイOKだ。日頃はコンタクトだが、メガネをつけたまま、ナースの案内のもと、そのままオペ室へ案内される。
オペ室は複数あったので、これから手術を受ける私と同じ格好をした患者さん達や、多くの医療関係者がワサワサとせわしなく動いている感じだ。オペ場のナースより、各種アレルギーがないかなど、いくつかの質問に答えたのち、いよいよオペ室へ入る。
私の体型的には小さく感じる手術台の上に横になり、ナースが手際よく準備を着々と進められる。裸になるが、上にシートのようなものを被せられおり、心電図の電極や血圧計、酸素濃度測定もろもろがつけられる。
硬膜外麻酔の準備が始まった。体を横にして、赤ちゃんのように体を丸めることになる。極力、膝をグッと抱きかかえて背中を丸くピーンと張ることで、適切に硬膜外にアクセスできるからだ。
けど、困ったことが起きた。どうやら硬膜外にうまく入らないようだ。かれこれ何分間もトライしている。背骨を強くグリグリと指で押し付けられ、刺す場所を丁寧に確認した上で、針をグッと刺されるのだが、なかなかうまくいかないようだ。
私が少し太った体型であることを手術台の上で後悔するとは思いもよらなかった(笑)きっともっと痩せていたら、スムーズだろうにとww
15分ぐらいは経った感覚だが、グリグリと試されている間、何とも言えない痛みがあり、全身から汗が吹き出ていた。ナースが優しく汗を拭いてくれて、とても安心した。
なんとか硬膜外麻酔の準備が成功したようだ。すると今度はマスクが視界に入り、医師より「これから全身麻酔を始めます。これが始まるとすぐに意識はなくなります」と言われた。
「あぁ、ドラマでよく観るこのシーンか」と回想していた。大好きな医龍というドラマでは、阿部サダヲ演じる荒瀬という麻酔科医が「ひと〜つ、ふた〜つ…」と数え、カウント通りに見事に意識を落としているシーンがすごくカッコいい、あれだ。
不意にマスクを顔の上に置かれて、「おっ、くるか、ひと〜つ」とテンションが上がったが、どうやら私は瞬間的に意識が落ちたのだろうか、そこまでの記憶しかない(笑)
術後の目覚めた瞬間
次に目覚めた瞬間は、もとの病室にいた。大勢の医師やナースがちょうど私のベッドの周りを取り囲んでいた状況だった。パチっと目が覚めるというよりは、ぼや〜と周囲に人がたくさんいるのが見えたというようなウトウトした感じだった。主治医の先生の声は聞こえてきて、「手術はうまくいきましたからね〜、がんはすべてキレイに取り除きましたよ〜」という声が聞こえてきて、すごく安心した。目もうまく開けられないまま、「ありがとうございます」とヘロヘロな声をかろうじて絞り出した。
その朦朧としたまま、また意識がなくなり、眠りについた…。
次に目覚めると、自分がすごい状態になっていることに気づく。身体中、管だらけだ。
- 顔には、酸素マスク
- 手の甲には、注射針が2箇所刺さっており、テープで固定され、点滴される
- 脇腹からドレーンの管が出ていて排液されていく
- 尿道口から管が出て、おしっこが体外へ排出されていく
- 背中の硬膜外麻酔時の場所から管が出て、自身で鎮痛剤を投与できる
上記のとおり、こちらはヘロヘロの寝たきり状態なので、どの管がどれなのか区別がつきづらい。別に区別がつかなくても、ナースがすべて対処してくれているので、区別がつかなくなっても困ることはない。ただ、以下のボタンを探そうとする場面は何度もあり、その度にこんなにたくさんの管に繋がっていることを実感する。
痛みがキツくなってきたときは、背中から伸びている管にボタン付のデバイスがあり、そのボタンを押すことで鎮痛剤を投与できる(自己調節鎮痛法:PCA)。自身の判断で投与できるのがポイントで、もしこれがなかったらナースを呼び、ナースが痛みの評価を行い、医師に伝え…など、その間はずっと患者は苦しみ続けることになるが、評価の難しい「痛み」を患者自身がタイムリーに対処できるのは大きなメリットの一つだ。患者自身の判断のため、過量投与のリスクも考えられるが、そうしたことが起こらないように、ボタンを押した後は一定期間の間は2度目を押せないようになっている。背中から管が出ているので、邪魔にならないのかも気になっていたのだが、私の感想としては思うほど気にならなかった。
そして、肝心な「痛み」についてだが、結構キツかった。手術部位が激痛というよりは、ただ身体中が「しんどい」という状況だった。けど、術後2日目、3日目以降に手術部位がもっと痛みが出てくるとはそのときは分からなかった。
注意点:個人の感想であり、すべての患者に当てはまるものではない
上記は、言わずもがなだが、医療機関の対応方法も医療機関ごとに異なるし、痛みの感じ方をはじめ、単に私個人が感じた一事例に過ぎない。もし、同じような手術を受ける予定にご覧いただいてるなら、全く別の体験や感じ方をになる可能性も十分あるので、ふ〜んと読み流していただきたい。
ここからいよいよ、想像以上に辛い入院生活が本格的に始まることになった。
ではまた〜。